サロン＜グランダム＞　橋本久美子さん

サロン＜グランダム＞第４回「元総理夫人が見た外交最前線の舞台裏」

　５月19日、ホテルオークラ東京のラ・ベル・エポックで、第４回目のサロン＜グランダム＞を開催しました。３月に開催するはずだったこの会ですが、東日本大震災で延期を決め、この日を迎えました。爽やかな晴天にも恵まれ、参加者の皆様と、明るい笑顔で橋本久美子さんをお迎えでき、感無量でした。

　
　橋本さんのお話は、まずお二人のなれそめから。もともと幼なじみで、結婚など意識したことがなく、縁談が持ち上がったとき「私のタイプじゃないわ」と思っていて、「絶対に断る」と宣言して龍太郎さんとの初デートに出かけたことや、デート中のエピソード、東京で暮らすはずが、岡山にお住まいを移したいきさつなど、男女の縁とは不思議なもの……。二男三女をもうけ、14回の選挙を戦うなかで夫婦の強い絆が結ばれていったことがよく分かるお話でした。

　
　ファーストレディとなってからは、経験したことのない出来事が橋本さんを待ち受けていました。初めての歓迎レセプションで、ブット首相のご主人に「初めてで緊張しています」と橋本さんが打ち明けると「１回やれば慣れますよ」とあっさり返された話。サミットでの首脳夫人達の微笑ましい交流エピソード、外遊中の失敗談などを披露していただきました。

　首相在任中の忘れられない出来事は、ペルー日本大使公邸占拠事件でした。事件が解決するまでの辛い日々。朝、首相官邸で「今日一日無事に過ごせますように」と祈りながらカーテンを開け、夜、何事もなく過ごせたことを感謝しながらカーテンを下ろしていたそうです。「その時ほど何事もないことの有難さを痛感したことはありません。それは、大震災後の今も同じ心境です」と、当時を振り返りながら語ってくださいました。

　現在は13人のお孫さんに恵まれ、日本ラテンアメリカ婦人協会会長をはじめ、いくつもの会長職を兼任なさって、国際交流や慈善活動に忙しくも充実した日々を送っていらっしゃる橋本さん。夫を支え、明るく逞しく生きてこられた半生に心から拍手を送るとともに、ますますのご活躍をお祈りいたします。

写真の説明：

上左：橋本久美子さん　上右：龍太郎氏がデザインしたアクセサリー。海外に出かけた折に琥珀などの貴石を買い求め、アクセサリーにしてプレゼントしていたそうです。細やかな人柄が偲ばれます。
下左：大学の後輩でもある、花・芸術文化協会理事長の鬼頭郁子さんが、お手製のブーケを橋本さんにプレゼント。下右：日本介助犬協会がチャリティーグッズとして販売しているトートバッグと介助犬携帯チャーム。