松浦美穂さん | フロムパーソナリティ― | プレミアムライフ -PREMIUM LIFE - |プレミアムライフ ハイソサエティライフのためのWebマガジン【Premium Life】

瞬間を永遠にとどめる創作を

コンテンポラリーアーティスト  笛田 亜希さん

Photographs by Kai Kiuchi
  

PROFILE

1974 東京生まれ。1999 東京芸術大学油画科卒業、2001年、同修士課程を修了。
村越画廊、ギャラリー小暮、LOWER AKIHABARA.等、画廊やアートフェアでの発表活動以外に水戸芸術館や、井の頭自然文化園、若手作家集団「団・DANS」などで発表。

Q.子供のころはどんな職業を目指しましたか?

A.小学生3年生ごろまでプロ野球選手になりたかったのですが女子だったのでプロにはなれないとあきらめ、4年生くらいからは画家になりたいと思いはじめました。 中学生のとき、お寿司屋さんなろうと思ったこともあるのですが、近所のお寿司屋さんに弟子入りしようとしましたが断られたのであきらめました。 とはいえ、中学時代は、母がへそくりで絵の通信教育を受けさせてくれたりしていたので、絵が一番続いていました。高校2年生から4年間芸大受験用の予備校に通って勉強しました。

Q.芸大油学科に入学してからは?

A.大学に入るまでは絵を上手く描くことに没頭していましたが、大学に入ってからは表現について考えはじめ、それを形にするのに手段は選ばず、絵画だけでなく、写真や、彫刻など様々な手段を探っていきました。

Q.表現の核は?

大事だと思う今の瞬間や、記憶に留め置いておきたいこと。それに形を与え、とどめること。

Q.学生時代と卒業してからの変化はありますか?

大学の中は皆、美術の専門家ばかりなので、美術の世界の中での表現ということばかり考えていて少し観念的でした。 プロの美術家がどういうものか全く解っていないまま、偏ってはいましたが、でも純粋に表現とは何かということを追い求められていたと思います。 それを解りやすく形にしていけるようになったのは卒業してからです。

Q.どんな幼少期を過ごされましたか?

私は新日鉄の町、北九州で生まれ育ちました。色イメージで言うとグレイッシュ、海も水がよどんていて波が重かったです。
工場だらけだったので、未来的な街でもありました。そんな中でグレーによく合う赤が好きになり、幼少期から今に至るまでいつも自分にとっての「キーカラー」は赤です。ですから、現在のTwiggyの「看板」も赤なのです。東京の空も北九州の空と同じようなものですから・・・。と言っても東京に到着した時は........

Q.そのきっかけになったのは?

A.2002年私が通っていた井の頭動物園で、ワラビーが死んだ瞬間に偶然立ち会って。 動物園というのはポジティブなイメージやエンタメ性が強いじゃないですか。
動物園にはワラビーが一匹しかいなくて。
だから最後の1頭だったワラビーが死んでしまうと、看板がはずされたり、部屋の置物が撤去されたり、わずか30分程「ワラビーなんてはじめからいませんでした」という環境があっという間につくられてしまった。 偶然にもそのワラビーの最後を看取ったということで、この出来事の記憶を形に残しておきたいと思ったのがはじまりです。

Q.井の頭動物園は笛田さんの創作の原点ですね?

そうかもしれないです。ワラビー以上に思い入れがあるのは、象のはな子。2歳でタイから来て60年日本で飼育されている象で、私もものごころつく前からはな子には会いに行っていました。 私が通っていた高校が井の頭動物園のすぐそばだったということもあり、学校をさぼっては、はな子をスケッチしにいったりしていました。

Q.象のハナコはどんな性格ですか?

記憶力がすごくいいんです。 私がはな子に頻繁に逢いにゆくようになったら、鼻を上げて挨拶をしてくれるようになって。 私は動物が好きで動物園という空間やや自然が好きなので、自分なりの関わり方を見つけたり、時間の流れで変わっていく変化を追っていきたいです。

Q.具体的にいうと?

実家のそばにある生産緑地で取れた大根なんかはスーパーでは買えない不ぞろいでユニークな形がありました。 そういうのが販売されていた時は、店番でおばあちゃんが座っていました。 けれど、そのおばあちゃんが亡くなって無人販売となり、自動販売機で販売されるようになると、ボックスの中に納まりやすいものだけが売られるようになる。 こういう時の流れ。風景が少しづつ変わってゆくことなど、忘れないように作品にとどめておきたいのです。

Q.笛田さんにとってのEVERLASTINGとはなんですか?

A.抽象的に言えば、その瞬間をとどめること。

Q.これからの活動は?

A.2月26日(金)〜28日(日)
香港のグランドハイアットで「Asia Top Gallery Hotel Art Fair 10」というのに、GALLERY小暮から「Animaless Zoo Project  百鬼夜行-」という、妖怪を描いたシリーズを発表します。

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